4月27日、被告より、
原告の「被告第3準備書面に対する求釈明書」に対する回答である第4準備書面を提出。
5月23日、原告より、
・前回の宿題(被告の第3準備書面、第4準備書面に対する反論)について、原告主張の集大成とも言うべき、以下の準備書面(5)と原告の陳述書(4)
・4人(國島正彦氏、味埜俊氏、高木保興氏、原告)の証人尋問を求める人証申出書
を提出。
◆原告準備書面(5)の内容は、
①. 訴訟手続上の問題点として「本訴は前訴の蒸し返し」でないこと
②.実体法上の問題点のその1として、原告が主張する3つの違反行為が形式的な規則違反ではなく、重大な違反行為であること
③.実体法上の問題点のその2として、その違反行為により本件の学融合という学問の自由の侵害という結果が発生したこと
④.今後の審理の進行について4人の人証申出
◆原告の陳述書(4)の内容は、
①.新領域において分野変更の手続を定めた目的・意義について
②.「教員選定手順の概要」の注意事項1の「全体構想」について
③.本訴の主要争点「分野変更手続の3つの違反」と前訴の関係について
④.2009年9月29日の教授懇談会での私の発言と10月26日の駒場訪問について
⑤.2009年11月10日付の味埜環境学系系長のメールについて
裁判所から被告に対し、原告主張に対して、何か反論はあるか?という問いに対し、被告より、3つの違反行為のうち3番目の違反(「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続の不存在)について反論をしたい、と。
これに対し、原告より以下を要求。
①.3番目の違反(「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続の不存在)については、今般提出の準備書面(5)12頁の第4、求釈明についても応答するよう求める。
②.「今まで、原告が主張する3つの違反行為のうち1番目のもの(進行中の教授人事の一方的な「停止」)について被告の認否がないので、認否をするように求める。
被告、以上を検討することとする。
以上より、前回、被告が再度主張した「分野変更の手続についても前訴で決着済みであり、本訴はその蒸し返しである(よって、門前払いすべきである)」は本日、全く話題とならず、門前払いの問題は問題にならないとして完全に決着がついた。
6月末までに、被告の反論を提出。
次回は7月4日。
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原告準備書面(5)のPDF->こちら
原告の人証申出書のPDF->こちら
原告陳述書(4)のPDF->こちら
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平成28年(ワ)第24543号 損害賠償請求事件
原 告 柳田 辰雄
被 告 国立大学法人東京大学
原告準備書面 (5)
2017年 5月23日
東京地方裁判所民事第14部合2A係 御中
原告訴訟代理人 弁護士 柳原 敏夫
本書面は、被告の第3、第4準備書面に対する反論であり、これにより、第1に、訴訟手続上の問題点として「本訴は前訴の蒸し返し」でないことを証明し、第2に、実体法上の問題点のその1として、原告が主張する3つの違反行為が形式的な規則違反ではなく、重大な違反行為であること、その2としてその違反行為により本件の学融合という学問の自由の侵害という結果が発生したことを証明し、合せて今後の審理の進行について人証申出をするものである。。
目 次
ここでの問題は「本訴は前訴(御庁平成24年(ワ)第4734号損害賠償請求事件。甲37・同38)の蒸し返しか否か」である。一般に、前訴の蒸し返しか否かは、理論的に次の2つの問題に帰着する。
①.本訴と前訴間の訴訟物の同一性(既判力の同一性)の有無
②、本訴と前訴間の主要な争点の同一性(争点効の同一性)の有無
そこで、本件について、以下、順次、検討する。
②、本訴と前訴間の主要な争点の同一性(争点効の同一性)の有無
そこで、本件について、以下、順次、検討する。
2、訴訟物の同一性の有無
本訴と前訴間の訴訟物は同一か。結論として両者は同一ではない。なぜなら、両者の訴訟物の時間的要素が、本訴は2009年(平成21年)11月25日までの手続違反を問うものである(原告準備書面(2)第1、4以下参照)のに対し、前訴は、以下の前訴訴状の主張の通り、2009年(平成21年)12月から翌年12月までの手続違反を問うもので、この点で両者は別物だからである。
《(1)国際協力学専攻においては、平成21年12月(公示)から同22年12月(発令)にかけて同専攻開発協力講座開発政策学分野と同専攻制度設計講座社会的意思決定分野の教授各1名の公募人事(以下「本件公募」という。)
が行われたが、本件公募の手続きは、専攻の任務及び運営を定める新領域創成科学研究科環境学研究系の組織及び運営に関する内規第22条、第23条 及び第24条(以下「研究科内規」という。)及び平成14年度に国際協力学専攻が定めた公募人事手続に関する内規(以下「専攻内規」という。)を 無視して、何ら存立の根拠のない一部の教授の任意の集まりにすぎない「教授懇談会」により進められた点で、手続的に違法であった。》(甲59。訴状3頁2(1)1行目~4頁7行目。アンダーラインは原告代理人による)。
3、主要な争点の同一性の有無
次に、本訴と前訴間の主要な争点は同一か。結論としてこれも両者は同一ではない。なぜなら、本訴の主要な争点である3つの手続違反は、前訴において争点としてはひとつも取り上げられず、当該争点の是非をめぐって審理で吟味検討されたことはなかったからである(例えば、前訴で「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続の不存在が争点として取り上げられ、吟味検討されたことはなかった)。
尤も、「基幹専攻会議で分野変更の審議・決定」を経た上で発議する手続の不存在という争点に関連して、前訴の二審で「基幹専攻会議」ではなく「教授懇談会」で分野変更が議題になったかどうかが争いとなり、検討されたことはあった。しかし、
第1に、二審判決から明らかな通り、前訴の二審では、なぜ分野変更の審議・決定が基幹専攻会議ではなく、教授懇談会のそれで足りるのか、という根本的な検討は全くされなかった。つまり、前訴一審判決は、《国際協力が専攻の2つの教授ポストをめぐって、同専攻に在籍する3名の准教授が争うという構図が強く予測できた》(甲37.15頁下から5行目以下)《准教授の利害対立が先鋭となることが強く想定された》(同16頁11行目)という事情を根拠にして教授人事の手続の例外(基幹専攻会議ではなく教授懇談会での審議・決定)を許容した。しかし、どの分野の教授を選考するかという分野選定では上記の3人の准教授が相争い利害対立が先鋭となる事情とは全く関係がない。従って、そもそも分野選定の手続において、上記の例外手続を許容する根拠がない。にもかかわらず、二審判決はこの手続の例外を許容する根拠を一切吟味することもしないまま、漫然と分野選定の手続でも教授懇談会での審議・決定があれば足りると決めつけ、本件では教授懇談会での審議・決定があったと認定したものである。
第2に、本件では教授懇談会での審議・決定があったという事実認定の推論過程においても、二審判決は原告の認識の前提事実として、教授懇談会で教授人事(原告代理人注:教授候補者の募集、リストアップ、評価等)に関する協議があったのだから、教授懇談会で分野変更に関する協議がなかったとは考え難いと推論しているが(甲38.5頁10~16行目)、この推論は教授候補者の募集、リストアップ、評価等と分野変更の関係につい正しく理解しておらず、経験則に違反する。なぜなら、そもそも特定の分野について教授候補者の募集、リストアップ、評価等に関する協議が行なわれている最中には分野変更は話題にならないのが通常だからである。本件でも教授懇談会で国際政策協調学分野の教授候補者の募集、リストアップ、評価等に関する協議が行なわれてきた間は、分野変更は話題にならなかったのであり、それは2008年7月~2009年9月までの教授懇談会の内容を記録した山路氏作成の『国際協力学専攻・教授懇談会における「制度設計講座ポスト」についての話し合い』と題する書面「(以下、山路メモという。乙10添付資料)の文面からも明らかである。
4、小括
以上より、訴訟物の観点からも主要な争点の観点からも、本訴が前訴の蒸し返しでないことが明らかである。
第2、実体法上の問題点(その1):3つの違反行為
1、問題の所在
そこで、本訴で原告が主張する次の3つの違反行為という実体法上の問題について、これに対する被告の反論(第3、第4準備書面)を取り上げ、再反論する。
①.進行中の教授人事の一方的な「停止」
②.「基幹専攻会議で分野変更の審議・決定」を経た上で発議する手続の不存在
③.「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続の不存在
本件では、国際政策協調学分野の教授候補者の募集等の教授人事の進行中に、いきなり、一方的に当該人事が停止となったものであり、このような尋常ならざる事態は被告東大の教員選考手続でも想定しておらず、この事態に対する内部規則は存在しない。しかし、教員選考手続の制定趣旨に照らせば、最低限の手続として、当該教授人事の関係機関である発議の審議・決定をした国際協力学専攻の基幹専攻会議及び当該教授人事のために教授選考委員会を設置した学術経営委員会に対して、進行中の募集手続をなぜ停止しなければならないのか、その合理的な理由を説明し、当該機関から承認を得る必要があると解すべきである(原告準備書面(2)第1、5参照)。それゆえ、このような手続を取らずに、進行中の教授人事を一方的に「停止」したことは手続違反と言わざるを得ない。
以上の原告主張に対し、被告は一切沈黙したままであり、認否すらしない。それゆえ、原告もまたこれに再反論しようがない。
「教官選考に当たっての分野及びポストの審議に関する申合わせ」(甲52の2〔1枚目〕・甲50の2・同51の2。以下、本件規則という)によれば、
《注1.「分野およびポスト」の変更が生じる場合は、再度、発議からやり直す。》
とあり、分野変更する場合には、発議した専攻の基幹専攻会議で分野変更に関する審議・決定を経た上で、改めて、発議することを求めている。
しかるに、本件において、2009年11月25日、国際協力学専攻は、国際政策協調学分野の分野変更について学術経営委員会に発議したが、しかし、そのために必要な「基幹専攻会議で分野変更に関する審議・決定を経る」手続を行なわなかった。これは明らかに本件規則の上記定めに違反する。
以上の原告主張に対し、被告は沈黙したままであり、認否すらしない。そして、単に「教授懇談会で分野変更の審議・決定」があった旨を主張するだけである(被告第4準備書面2頁2)。しかし、
第1に、「教授懇談会で分野変更の審議・決定」がなぜ「基幹専攻会議で分野変更の審議・決定」に代わり得るものであるかについて、被告は何の主張も証明もない。
第2に、「教授懇談会で分野変更の審議・決定」に関する被告主張のうち、《平成21年7月から10月にかけて、教授懇談会で本件分野変更の審議が重ねられ、11月までには本件分野変更の合意が形成され、決定された》旨の事実に対して、原告は否認する。その理由は、2009年(平成21年)9月までの教授懇談会の内容を記録した山路メモ(乙10添付資料)から次の事実が明らかだからである。
①.2009年9月までの教授懇談会で本件分野変更が議題になる余地はなかった。なぜなら、9月29日の教授懇談会で、原告は次の発言をしているからである。
第2に、「教授懇談会で分野変更の審議・決定」に関する被告主張のうち、《平成21年7月から10月にかけて、教授懇談会で本件分野変更の審議が重ねられ、11月までには本件分野変更の合意が形成され、決定された》旨の事実に対して、原告は否認する。その理由は、2009年(平成21年)9月までの教授懇談会の内容を記録した山路メモ(乙10添付資料)から次の事実が明らかだからである。
①.2009年9月までの教授懇談会で本件分野変更が議題になる余地はなかった。なぜなら、9月29日の教授懇談会で、原告は次の発言をしているからである。
「柳田教授が、制度設計講座の3分野将来構想を詳細に提案。また、本件はY総合文化研究科長の任期中にけりを付けたい、と発言」。(乙10添付資料2枚目)
つまり、この日、原告は《国際協力学専攻を構成する3つの講座のうち私が所属する制度設計講座が、国際政治経済システム学分野、国際政策協調学分野および国際環境組織論の3つの分野から構成される構想》である3分野将来構想について、《3分野構想は既に1999年に構想されたものでしたが、その実現がまだでしたので、‥‥教授の空きポストを早急に埋めて、是非とも3分野構想を実現させたいと意気込んでいたので、改めて、3分野構想の内容を詳しく説明し、出席者に理解を求めた》ものであり(甲58原告陳述書(4)4頁)、国際政策協調学分野の教授人事を別の分野に変更することなど到底あり得ない話だったからである。
②.なおかつ、原告はこの3分野構想を実現するために、国際政治学専攻の山影進教授に国際政治学または国際法の候補者を推薦してもらう積りで、山影教授との面談をこの日の教授懇談会で話題にし、翌10月26日、國島専攻長も同行し、山影教授を訪問し上記推薦の依頼をした(甲58原告陳述書(4)4頁)。
以上から、2009年10月26日までは原告と国際協力学専攻の教授間で本件分野変更が議題になったことはない。
③.山路メモによれば、2009年10月及び11月に教授懇談会は開催されていない。従って、同年10月及び11月に教授懇談会で本件分野変更が議題になる余地もなかった。
言うまでもなく、分野変更においては、本来なら、分野変更のために設置された分野選定委員会を招集・開催して、分野変更について審議・決定の手続を経る必要がある。しかし、本件においては、当該野選定委員会の招集、開催の事実はなく、従って、2009年11月25日にこれが開催され、分野変更について審議し、全員一致で承認したという審議結果報告書(甲18の3・同20の2)は虚偽である(原告準備書面(2)第1、7)。
これに対し、被告は上記原告主張を全面的に否認し、審議結果報告書(甲18の3・同20の2)の内容の通り、2009年11月25日に上記分野選定委員会が開催され、分野変更について審議し、全員一致で承認したと主張する(被告第3準備書面第1、4)。
「2009年11月25日の分野選定委員会の開催・審議・決定」の有無をめぐって双方で真っ向から主張が対立する以上、双方とも自身の主張について、その裏付け(被告であれば否認の理由)を明らかにする必要がある。
そこで、原告は、この点の事実関係を解明するため、後述の通り、求釈明と人証申請する。
第3、実体法上の問題点(その2)
1、違反行為の意義
(1)、問題の所在
本件分野変更は教員選考手続を構成する一部であり、その手続に違反があったのあるが、問題は、その手続違反が単なる形式的な規則違反にとどまらず、実質的に重要な違反と評価できるのか。もしそうだとしたら、それはいかなる意味で重大な違反なのか、である。
(1)、問題の所在
本件分野変更は教員選考手続を構成する一部であり、その手続に違反があったのあるが、問題は、その手続違反が単なる形式的な規則違反にとどまらず、実質的に重要な違反と評価できるのか。もしそうだとしたら、それはいかなる意味で重大な違反なのか、である。
この問題を解明するためには、まず、新領域創成科学研究科(以下、新領域という)において、分野変更手続を定めた目的・意義は何かを明らかにする必要がある。
(2)、新領域において分野変更手続を定めた目的・意義
教員選考においては、教員をどの分野から選考するかについて、専攻の基幹専攻会議で、当該専攻が掲げる学融合の全体構想を踏まえて審議・決定するが、のちに事情により別の分野に変更する場合に、変更先をいい加減に決められては学融合の全体構想に重大な影響を及ぼすため、改めて、専攻の基幹専攻会議で、当該全体構想の中で当該変更の必要性を審議・決定する必要がある。そこで、この手続を分野変更の手続として明文化した。すなわち、分野変更手続は専攻が掲げる学融合の推進にとって極めて重要な影響を及ぼす問題として、その適正な運用を規則として法定したものである。その規則が「教官選考に当たっての分野及びポストの審議に関する申合わせ」(以下、「申し合わせ」という)(甲52の2〔1枚目〕・甲50の2・同51の2)の注1及び「教員選定手順の概要」(甲52の2〔2~3枚目〕)の注意事項1である。
(3)、分野変更手続を明記した規則とその内容
(2)で述べた分野変更手続を明記した規則は次の内容である。
①.「申し合わせ」
注1.「分野およびポスト」の変更が生じる場合は、再度、発議からやり直す。
②.「教員選定手順の概要」の注意事項1として、
「特に、提案分野が大講座(原告代理人注:専攻化後は専攻のこと)の全体構想の中で必要であることの説明は重要です。」
ここでは、分野変更の手続においては、専攻の研究・教育体制の全体構想の中で当該分野の変更が必要であることが専攻の基幹専攻会議の場で合意形成されること及びその合意形成の結果について分野選定委員会の審議の場や学術経営委員会の報告の場で十分説明できることが重要とされている。
(4)、分野変更手続に関する上記規則に違反した分野変更と学問の自由の侵害
以上から、分野変更において、もし基幹専攻会議の場で上記合意形成がなされないまま分野変更が発議された場合または上記合意形成の結果について分野選定委員会の審議の場や学術経営委員会の報告の場で説明しないまま分野変更が承認された場合には、専攻が掲げる学融合の全体構想に重大な支障をもたらすおそれがあることが明らかである。
(5)、小括
以上の意味で、分野変更手続は専攻が掲げる学融合の全体構想を踏まえて審議・決定されることを明らかにしたものであって、学融合の推進を手続面から保障したものである。それゆえ、分野変更の手続違反により、分野変更が基幹専攻会議の場で学融合の全体構想を踏まえて審議・決定されないまま変更されてしまった場合または分野選定委員会の審議の場や学術経営委員会の報告の場で基幹専攻会議で学融合の全体構想を踏まえて審議・決定されたことを十分説明しないまま変更されてしまった場合には、その手続違反は単なる形式的な規則違反にとどまらず、学融合の推進に重大な支障をもたらすおそれがある重大な違反である。
2、本件違反行為の意義
(1)、原告にとって本件の学問の自由
本件においては、国際協力学専攻が掲げる学融合の全体構想(それはアカデミックプラント呼ばれる〔甲58原告陳述書(4)〕2頁2)の1つとして、《制度設計講座は法学、政治学と経済学の学融合の推進により、国際システムの課題をより包括的に理解することを目的とし》(甲58原告陳述書(4)3頁2、「内容」)、《国際政治経済システム学分野、国際政策協調学分野および国際環境組織論の3つの分野から構成される》(同4頁4(1))3分野構想が原告が追及する本件学融合であり、原告が問題にする本件の学問の自由である。
(2)、「基幹専攻会議で分野変更の審議・決定」を経た上で発議する手続の不存在と学問の自由の侵害
2005年7月、国際政策協調学分野で分野選定委員会が設置され(乙9の2)、同月当該分野が承認されて以来、原告は国際政策協調学分野の教授人事の実現を目指して努力してきた(甲48原告陳述書(3)2頁4)。
ところが、第2、3で前述した通り、2009年11月25日、国際協力学専攻は、国際政策協調学分野の分野変更について学術経営委員会に発議したが、しかし、そのために必要な「基幹専攻会議で分野変更に関する審議・決定を経る」手続を行なわなかった。この規則違反の分野変更手続により、前記(1)の国際協力学専攻が掲げる学融合の全体構想を踏まえて分野変更を審議・決定しないまま分野を国際政策協調学から社会的意思決定に変更してしまったものであり、以上の結果、この規則違反が本件学融合の推進に取り組んできた原告の学問の自由を侵害する結果を招いたことは明らかである。
ところが、第2、3で前述した通り、2009年11月25日、国際協力学専攻は、国際政策協調学分野の分野変更について学術経営委員会に発議したが、しかし、そのために必要な「基幹専攻会議で分野変更に関する審議・決定を経る」手続を行なわなかった。この規則違反の分野変更手続により、前記(1)の国際協力学専攻が掲げる学融合の全体構想を踏まえて分野変更を審議・決定しないまま分野を国際政策協調学から社会的意思決定に変更してしまったものであり、以上の結果、この規則違反が本件学融合の推進に取り組んできた原告の学問の自由を侵害する結果を招いたことは明らかである。
(3)、「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続の不存在と学問の自由の侵害
本件分野変更手続においては、発議で「基幹専攻会議で分野変更の審議・決定」を経なかったばかりか、「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続も経なかった。この規則違反の分野変更手続により、前記(1)の国際協力学専攻が掲げる学融合の全体構想を踏まえて分野変更が審議・決定されたことを分野選定委員会の審議の場で全く説明しないまま分野を国際政策協調学から社会的意思決定に変更してしまったものであり、以上の結果、この規則違反が本件学融合の推進に取り組んできた原告の学問の自由を侵害する結果を招いたことは明らかである。
(4)、進行中の教授人事の一方的な「停止」と学問の自由の侵害
また、本件分野変更手続の前提として、それまで進行中だった国際政策協調学分野の教授候補者の募集等の教授人事を、いきなり、一方的に停止し、そのあとの「申し合わせ」等の規則違反の本件分野変更により国際政策協調学分野の教員選考が消滅させられてしまったものであり、以上の結果、この規則違反が本件学融合の推進に取り組んできた原告の学問の自由を侵害する結果を招いたことは明らかである。
3、小括
以上の通り、本件の3つの違反行為により原告の本学融合に関する学問の自由を侵害したことが認められる。
第4、求釈明
被告第4準備書面により、被告が「分野選定委員会の開催・審議・決定」という手続の不存在をめぐって、真っ向から争うことが判明した。そこで、原告は、この事実関係の解明のため、被告に次の釈明を求める。
(1)、被告は、分野選定委員会を11月25日に開催する旨の招集通知が出された事実を認めるのかそれとも否認するのか、明らかにせよ。
(2)、もし認めるのであれば、誰がどういう方法で出したのか、明らかにせよ。
第5、人証の申出
1、証拠申出書の提出
今般、原告は人証申請のため証拠申出書を提出する。以下は、このうち味埜環境学系系長(2009年当時)の証人尋 問の必要性について明らかにしたものである。
2、味埜環境学系系長の証人尋問の必要性
①.
2009年11月25日の国際政策協調学の分野選定委員会の審議結果報告書(甲18の3)
現実には、各委員に招集の連絡もなく、開催もされなかった2009年11月25日の国際政策協調学の分野選定委員会の会議について、当日開催され、分野変更が審議の上、全員一致で承認されたという虚偽の内容の審議結果報告書(甲18の3)が作成され、学術経営委員会に提出されたが、これは発議専攻の専攻長ひとりの手で到底成し得ることではなく、学術経営委員会の関係者の協力が不可欠である。この点、当時、環境学系系長であり、本件の国際政策協調学の分野選定委員会の委員でもあり、審議結果報告書(甲18の3)において出席者として名を連ね、また以下のようなメールを送信した味埜俊教授がこの問題に関与した一人の可能性が極めて高いと思われるからである。
②.2009年11月10日付の味埜環境学系系長のメール
②.2009年11月10日付の味埜環境学系系長のメール
2009年11月10日に、味埜環境学系系長は国際政策協調学分野の教授選考委員会(注意:分野設置委員会ではない。同委員会はこの時点ではまだ設置されていない)の委員全員宛に、翌日開催予定の委員会の時間調整のメール(甲60)を出し、その中で、國島専攻長宛に、以下の質問を書いた。
《國島先生=>どうしても明日11日に時間がとれない場合に、比較的時間に余裕がある開発協力講座のほうの分野選定委員会を別の日に変更することは可能でしょうか。》
しかし、この質問は、原告に言わせると次の意味で不可解である。
《本件の教授人事で教授を決める予定の時期は、制度設計講座(国際政策協調学)も開発協力講座(環境技術政策学)も、一応、翌年の2010年3月末までと考えられていました。従って、この11月時点で、制度設計講座は教授選考委員会が5月に設置され(甲7の3)、教授候補者を探す作業が粛々と進められていたのに対し、開発協力講座は分野選定委員会が5月に設置されたにもかかわらず(甲7の2)、その後11月時点において、分野もまだ決まっていないという状態で、制度設計講座に比べ著しく遅れていました。》からである(甲58原告陳述書(4)5頁6行目以下)
従って、本来であれば、ここで、
「國島先生=>どうしても明日11日に時間がとれない場合に、比較的時間に余裕がある制度設計講座のほうの教授選考委員会を別の日に変更することは可能でしょうか。」
と問うべきなのに、反対のことを言っている。なぜこのような不可解な質問を発したのか。その理由は、この時点で、《この後に起きた制度設計講座(国際政策協調学)の教授人事の一方的な「停止」により、人事が白紙に戻るという事態を味埜環境学系系長もあらかじめ知らされていたから》、つまりこのあと展開されるのは①、国際政策協調学分野の教授人事募集の中断により人事が白紙に戻り、そこから②.国際政策協調学分野から社会的意思決定分野への変更の発議とその承認手続、③.社会的意思決定分野で教授人事の募集という目まぐるしいスケジュールであり、《その場合には、白紙に戻った制度設計講座より開発協力講座のほうが「比較的時間に余裕がある」ことになるので、このような質問ができた》からであるというのが原告の推理である(甲58原告陳述書(4)5頁下から8行目以下)。
と問うべきなのに、反対のことを言っている。なぜこのような不可解な質問を発したのか。その理由は、この時点で、《この後に起きた制度設計講座(国際政策協調学)の教授人事の一方的な「停止」により、人事が白紙に戻るという事態を味埜環境学系系長もあらかじめ知らされていたから》、つまりこのあと展開されるのは①、国際政策協調学分野の教授人事募集の中断により人事が白紙に戻り、そこから②.国際政策協調学分野から社会的意思決定分野への変更の発議とその承認手続、③.社会的意思決定分野で教授人事の募集という目まぐるしいスケジュールであり、《その場合には、白紙に戻った制度設計講座より開発協力講座のほうが「比較的時間に余裕がある」ことになるので、このような質問ができた》からであるというのが原告の推理である(甲58原告陳述書(4)5頁下から8行目以下)。
以上の2点からだけでも、学術経営委員会を主要な舞台として、國島専攻長が主導した3つの重大な違反行為について、専攻長一人では到底なし得ない側面について学術経営委員会の関係者が関与協力したことは間違いなく、当時、関係者として最も可能性が高かったのはほかならぬ味埜環境学系系長である。この意味で、味埜環境学系系長の証人尋問は本件の事案解明にとり必要不可欠である。
以 上
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陳 述 書 (4)
2017年5月23日
東京地方裁判所民事第14部 御中
原告 柳 田 辰 雄
目 次
1、新領域において分野変更の手続を定めた目的・意義 1頁
2、「教員選定手順の概要」の注意事項1の「全体構想」について 2頁
3、本訴の主要争点「分野変更手続の3つの違反」と前訴の関係 3頁
4、2009年9月29日の教授懇談会での私の発言と10月26日の駒場訪問 4頁
5、2009年11月10日付の味埜環境学系系長のメールについて 4頁
6、誤記の訂正 5頁
新領域創成科学研究科(以下、新領域と略称)は教員選考において、分野変更の手続について次のように定めています。
①.「申し合わせ」(甲52の2〔1枚目〕・甲50の2・同51の2)
注1.「分野およびポスト」の変更が生じる場合は、再度、発議からやり直す。
注1.「分野およびポスト」の変更が生じる場合は、再度、発議からやり直す。
②.「教員選定手順の概要」(甲52の2〔2~3枚目〕)の注意事項1に、分野の選定のプロセスにおいては、基幹専攻会議の発議の審議の場等で、
「特に、提案分野が大講座[1]の全体構想の中で必要であることの説明は重要です」
なぜ、わざわざこのような手続を明文でもって定めたのでしょうか。それは決して偶然でも、また単なる形式的なことでもありません。それは、新領域が設立された目的・存在意義と密接不可分な関係にあります。つまりそれは、新領域設立の必然的な帰結であり、本質的な内容を意味するものです。東京大学のホームページでも《新領域創成科学研究科は、学際性をさらに推し進めた「学融合」という概念で新しい学問領域を創出することを目指して1998年に設置された。》(甲3本文の冒頭)と掲げている通り、新領域が設立された目的は「学融合」という方法を用いて新しい学問領域を創出することです。そのためには、新領域の下の組織である大講座(専攻に改組後は専攻)が大講座全体でどのような新しい学問領域を創出するのかについての構想を立て(これを全体構想と呼びます)、その構想に沿って各分野を具体的に決定していきました。従って、教員人事においては、大講座が目指す新しい学問領域の創出にとって最適かどうかという観点から、いかなる分野から教員を採用するかについて大講座全員の教員が検討して分野を決めました。従って、一度決めた分野をその後の事情により変更する必要が生じた場合にも、同様に、分野選定手続の出発点に戻り、大講座が目指す新しい学問領域の創出にとって最適かどうかという観点から、大講座全員の教員が検討して分野の変更先を決めました。このことを明文で明らかにしたのが、上の2つの規則なのです。
新領域では、研究・教育の全体構想はアカデミックプランと呼ばれています。「教員選定手順の概要」(甲52の2〔2~3枚目〕)の注意事項1の「全体構想」もアカデミックプランという意味です。国際協力学専攻において、アカデミックプランは専攻化前に2回作成されましたが、それぞれについての概要は以下の表の通りです。
1、1回目のアカデミックプラン
項目
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概 要
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時期
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平成10年(1998年)から11年
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作成
理由
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東京大学の大学院の一部門として、新しく新領域創成科学研究科の環境学専攻 国際環境基盤学大講座を設立するために、東京大学本部と文部科学省の承認を得る必要があり、そのために、同大講座の研究・教育体制の全体構想を明らかにする必要があった。
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作成
過程
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作成時に国際環境基盤学大講座がまだ発足していなかったために、東京大学本部は、アカデミックプランの作成を総合文化研究科の国際社会科学専攻に委託した。
その際、国際システムの課題に法学、政治学および経済学の社会科学分野の学融合により取り組むこととした。作成責任者が個人的な委員会で研究・教育の全体構想を策定し、東京大学本部の委員会に提案、承認。
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作成者
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作成責任者として国際社会科学専攻の故鬼塚雄丞教授が草案を作成、高木保輿教授と原告が協力。
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内容
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当初、国際システムの課題を社会科学系の立場から、法学、政治学および経済学の社会科学分野の学融合により取り組んだ。しかしその後、発展途上国の社会発展への国際協力ために、工学系の社会基盤学と農学の農業基盤学の分野も参加することになり、文理融合的な学融合をめざす構想となった。
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作成
結果
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同大講座の設立が承認され、このアカデミックプランに沿って同大講座の学融合を推進。
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2、2回目のアカデミックプラン(その成果物が甲4「国際協力学専攻の目的と研究体制)
項目
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概 要
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時期
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平成16年(2004年)5月から10月
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作成
理由
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国際環境基盤学大講座を国際協力学専攻に改組するために東京大学本部と文部科学省の承認を得る必要があり、そのために、国際協力学専攻の研究・教育体制の全体構想を明らかにする必要があった。
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作成
過程
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作成時に国際環境基盤学大講座が発足していたので、同大講座内に小委員会が草案を作成し、同大講座に提案し、教員全員で討議し、決定。
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作成者
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小委員会が草案を作成。国際環境基盤学大講座の教員で討議・決定。
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内容
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国際協力学専攻を構成する3つの講座ごとに次のように学融合を構想。
①.制度設計講座は、法学、政治学と経済学の学融合の推進により、国際システムの課題をより包括的に理解することを目的とした。
②.開発協力講座は、発展途上国の社会基盤や農業基盤への協力を目的とした。 ③.資源環境講座は、地球環境の課題を有限な自然資源との関連で理解しようとした。 さらに、個々の研究プロジェクトにおいて、関連するする講座が協力して学融合的に課題に対応することを目標とした。 |
作成
結果
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国際協力学専攻の設立が承認され、このアカデミックプランに沿って国際協力学専攻の学融合を推進。このうち制度設計講座ではグローバルガバナンスを主な研究・教育の課題とした。
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本訴の主要な争点は原告が準備書面(2)第1、4以下で主張した「分野変更手続の3つの違反」です。問題はこの3つの争点が前訴でも争点として取り上げられたかどうかですが、私の認識では、3つの争点はいずれとも前訴では争点として取り上げられたことはありませんでした。前訴でも争点として取り上げられたともし被告が主張するのであれば、どこでそれが争点として取り上げられたのか、具体的に示していただきたいです。「分野変更手続の3つの違反」が争点として取り上げられるのは本訴が初めてです。
4、2009年9月29日の教授懇談会での私の発言と10月26日の駒場訪問
(1)、「制度設計講座の3分野将来構想を詳細に提案。」発言について
2009年9月29日の教授懇談会が開かれた時、私が「3分野構想」について詳細に発言したと山路教授作成のメモ(乙10.添付資料2枚目)に記されています。この「3分野構想」とは、国際協力学専攻を構成する3つの講座のうち私が所属する制度設計講座が、国際政治経済システム学分野、国際政策協調学分野および国際環境組織論の3つの分野から構成される構想のことです。その詳細は私の陳述書(甲1)5頁下から7行目以下で解説した通りです。この3分野構想は既に1999年に構想されたものでしたが、その実現がまだでしたので、この時、私がその構想の実現をめざして詳細に提案したことを、山路教授は「将来」構想と書いたものと思います。
(1)、「制度設計講座の3分野将来構想を詳細に提案。」発言について
2009年9月29日の教授懇談会が開かれた時、私が「3分野構想」について詳細に発言したと山路教授作成のメモ(乙10.添付資料2枚目)に記されています。この「3分野構想」とは、国際協力学専攻を構成する3つの講座のうち私が所属する制度設計講座が、国際政治経済システム学分野、国際政策協調学分野および国際環境組織論の3つの分野から構成される構想のことです。その詳細は私の陳述書(甲1)5頁下から7行目以下で解説した通りです。この3分野構想は既に1999年に構想されたものでしたが、その実現がまだでしたので、この時、私がその構想の実現をめざして詳細に提案したことを、山路教授は「将来」構想と書いたものと思います。
(2)、この懇談会で、私が3分野構想を「詳細に提案」した理由は、教授の空きポストを早急に埋めて、是非とも3分野構想を実現させたいと意気込んでいたので、改めて、3分野構想の内容を詳しく説明し、出席者に理解を求めたからです。
(3)、上記の発言に続いて、私が「本件はY総合文化研究科長の任期中にけりを付けたい」と発言したと山路メモに記されています。Yとは国際政治学者の山影進教授のことです。山影教授の研究科長としての任期満了は2010年3月末でした。従って、この発言は、駒場の国際政治学のリーダー格の山影教授から国際政治学か国際法の候補者を推薦してもらい、彼の研究科長在任中の2010年3月末までに国際政策協調学の教授人事を決めたいという私の心境を語ったものです。
そこで、私が「山影研究科長に連絡を取る」と言うと、國島専攻長が「いや、駒場に行く用事があるから、自分が連絡を取る」と言い出したので、國島専攻長に日程調整をお願いすることにしました。
(4)、その後、國島専攻長の日程調整に基づいて、翌月10月26日、私は國島専攻長も同行して山影研究科長を訪問し、私が作成した資料(甲10)を説明しながら、国際政策協調学の教授人事のため国際政治学の候補者の推薦を依頼しました。
2009年11月11日に国際政策協調学の教授人事のため教授選考委員会が開催されましたが、その前日、味埜環境学系系長から國島専攻長や私を含む各委員宛に時間調整のお伺いメール(甲60)が送信されましたが、その中に次の一節があります。
「國島先生=>どうしても明日11日に時間がとれない場合に、比較的時間に余裕がある開発協力講座のほうの分野選定委員会を別の日に変更することは可能でしょうか。」
しかし、このお伺いは意味が取れないのです。なぜなら、本件の教授人事で教授を決める予定の時期は、制度設計講座(国際政策協調学)も開発協力講座(環境技術政策学)も、一応、翌年の2010年3月末までと考えられていました。従って、この11月時点で、制度設計講座は教授選考委員会が5月に設置され(甲7の3)、教授候補者を探す作業が粛々と進められていたのに対し、開発協力講座は分野選定委員会が5月に設置されたにもかかわらず(甲7の2)、その後11月時点において、分野もまだ決まっていないという状態で、制度設計講座に比べ著しく遅れていました。だとすれば、時間調整をするなら、
しかし、このお伺いは意味が取れないのです。なぜなら、本件の教授人事で教授を決める予定の時期は、制度設計講座(国際政策協調学)も開発協力講座(環境技術政策学)も、一応、翌年の2010年3月末までと考えられていました。従って、この11月時点で、制度設計講座は教授選考委員会が5月に設置され(甲7の3)、教授候補者を探す作業が粛々と進められていたのに対し、開発協力講座は分野選定委員会が5月に設置されたにもかかわらず(甲7の2)、その後11月時点において、分野もまだ決まっていないという状態で、制度設計講座に比べ著しく遅れていました。だとすれば、時間調整をするなら、
「國島先生=>どうしても明日11日に時間がとれない場合に、比較的時間に余裕がある制度設計講座のほうの教授選考委員会を別の日に変更することは可能でしょうか。」
と言うべきなのに、反対のことを言っているからです。その上、実際には委員に招集の連絡もなく、開催もされなかった2009年11月25日の国際政策協調学の分野選定委員会の会議について、あたかも当日開催され、分野変更が審議の上、全員一致で承認されたかのような偽りの内容の審議結果報告書(甲18の3)が作成され、学術経営委員会に提出できたのは味埜環境学系系長の了解なしには不可能ですから、彼もまたこのカラ会議に関する虚偽の内容の報告書の作成についてあらかじめ知らされていたと考えざるを得ません。
と言うべきなのに、反対のことを言っているからです。その上、実際には委員に招集の連絡もなく、開催もされなかった2009年11月25日の国際政策協調学の分野選定委員会の会議について、あたかも当日開催され、分野変更が審議の上、全員一致で承認されたかのような偽りの内容の審議結果報告書(甲18の3)が作成され、学術経営委員会に提出できたのは味埜環境学系系長の了解なしには不可能ですから、彼もまたこのカラ会議に関する虚偽の内容の報告書の作成についてあらかじめ知らされていたと考えざるを得ません。
この点も合せて考えると、このメールの上記お伺いは、この後に起きた制度設計講座(国際政策協調学)の教授人事の一方的な「停止」により、人事が白紙に戻るという事態を味埜環境学系系長もあらかじめ知らされていたから、その場合には、白紙に戻った制度設計講座より開発協力講座のほうが「比較的時間に余裕がある」ことになるので、このような質問ができたのではないかと、それ以外の理由が思いあたらない私はこの不可解なメールをそのようにしか解釈できないというのが正直な感想です。
6、誤記の訂正
6、誤記の訂正
これまで私が作成した次の文書に誤記がありましたので、以下の通り訂正し、別紙1~3の訂正版と差し替えをお願いします。
①.陳述書別紙1(甲1)
①.陳述書別紙1(甲1)
該当個所
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訂正前の表記
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訂正後の表記
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研究科
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人文社会系 教育学 新領域創成科学 ・・・・・・
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「新領域創成科」以外は削除
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②.経過年表1頁(甲2。下記のアンダーライン部分が訂正箇所)
該当個所
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訂正前の表記
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訂正後の表記
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09.5.13の開発協力講座の列
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H22.3退職予定の開発技術政策学分野(以下、(開技)分野) の吉田恒和教授
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H22.3退職予定の環境技術政策学分野(以下、(環技)分野) の吉田恒昭教授
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09.11.11の同日の制度設計講座の列
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分野選定委員会、開催。(国)分野を社会的意思決定分野(以下、(社)分野)に分野変更を決定。
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教授選考委員会、開催。(国)分野を社会的意思決定分野(以下、(社)分野)に分野変更を決定。
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09.11.11の同日の原告(柳田)
の列
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(国)分野の分野選定委員会に出席。
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(国)分野の教授選考委員会に出席。
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09.11.25の同日の制度設計講座の列
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分野選定委員会、開催。(国)分野を(社)分野に分野変更を審議・全会一致で決定。
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分野選定委員会、開催されなかったのに、開催し、(国)分野を(社)分野に分野変更を審議・全会一致で決定という報告書が作成。
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③.陳述書(3)(甲48。下記のアンダーライン部分が訂正箇所)
該当個所
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訂正前の表記
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訂正後の表記
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3頁⑤1行目
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2009年6月に、私は、
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2008年6月に、私は、
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同頁⑤3行目
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2010年5月から、
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2009年5月から、
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以 上
[1]専攻に改組後は専攻。
***************
平成28年(ワ)第24543号
原 告 柳 田 辰 雄
被 告 国立大学法人東京大学
証拠申出書
2017年 5月23日
東京地方裁判所民事第14部合2A係 御中
原告訴訟代理人 弁護士 柳原 敏夫
第1 証人尋問の申出1
1. 証人の表示
〒114-0032
東京都‥‥
國島 正彦(呼び出し・主尋問60分)
2. 立証の趣旨
(1)
2008年10月から2009年10月までの間の、国際政策協調学分野の教授人事の推移
(2)
証人が専攻長として、国際政策協調学分野の教授選考委員会の招集通知を出し、2009年11月11日に開催された同委員会の議題、審議内容、審議結果及び学術経営委員会への報告について
(3)
2009年11月11日開催の教授選考委員会を最後に、同委員会の活動を停止した事実、その理由及びその件について学術経営委員会への報告について
(4)
2009年11月25日に国際協力学専攻から学術経営委員会に対し、国際政策協調学から社会的意思決定に分野変更する発議がなされた事実、発議の前に国際協力学専攻の基幹専攻会議で当該分野変更の審議・決定をしなかった事実及び発議の前に国際協力学専攻の教授懇談会で当該分野変更の審議・決定をしなかった事実について
(5)
審議結果報告書(甲18の3)に、2009年11月25日に開催し、分野変更を審議・決定したとされる国際政策協調学分野の分野選定委員会について、証人が専攻長として招集手続、議題、審議に関わった事実について
(6)
審議結果報告書(甲18の3)の作成及び学術経営委員会に対する報告について
3. 尋問事項
追って提出する。
第2 証人尋問の申出2
1. 証人の表示
〒277-8563
千葉県柏市柏の葉5−1−5 ‥‥
東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻社会文化環境学専攻
味埜 俊(呼び出し・主尋問60分)
2. 立証の趣旨
(1) 証人が委員として参加した、2009年11月11日開催の国際政策協調学分野の教授選考委員会の議題、審議内容、審議結果及び学術経営委員会への報告について
(2) 2009年11月11日開催の教授選考委員会を最後に、同委員会の活動を停止した事実、その理由及びその件について学術経営委員会への報告について
(3) 審議結果報告書(甲18の3)に、2009年11月25日に開催し、分野変更を審議・決定したとされる国際政策協調学分野の分野選定委員会について、証人が委員として招集手続、議題、審議に関わった事実について
(4) 審議結果報告書(甲18の3)の作成に対する証人の関与及び学術経営委員会に対する報告について
3. 尋問事項
追って提出する。
第3 証人尋問の申出3
1. 証人の表示
〒662-0962
兵庫県‥‥
高木 保興(同行・主尋問40分)
2. 立証の趣旨
(1) 学融合について
(2) アカデミックプランの作成経過、内容及び学融合との関係について
(3) 分野選定の手続と学融合の推進との関係について
(4) 分野変更の手続と学融合の推進との関係について
3. 尋問事項
追って提出する。
第4 本人尋問の申出
1. 証人の表示
原告(同行・主尋問60分)
2. 立証の趣旨
(1) 新領域創成科学研究科の教員選考に関する規則について
(2) 2005年から始まった国際政策協調学の教授人事の経過について
(3) 2009年11月25日に国際政策協調学分野の分野選定委員会が設置されるまでに、国際協力学の基幹専攻会議でも教授懇談会でも国際政策協調学から社会的意思決定に分野変更することが論議されたことはなかったこと
(4) 2009年10月26日、原告が山影総合文化研究科長に面談した目的、内容、結果について
(5) 2009年11月11日に開催された国際政策協調学分野の教授選考委員会の議題、審議内容、審議結果等について
(6) 2009年11月25日に設置された国際政策協調学分野の分野選定委員会は同日開催されなかったこと
(7) 審議結果報告書(甲18の3)について
3. 尋問
追って提出する。
以 上