2021年9月8日水曜日

【報告】本日、第1回弁論。被告筑波大学とAKS(現Vernalossom)は出廷せず、共に1~2行の答弁書のみ提出。次回期日は10月27日(水)午後1時30分(21.9.8)

    東京地裁の傍聴席のセッティング(2020年6月2日NHKニュースから)

予定通り、9月8日(水)午前10時から東京地裁で第1回の裁判。
本来なら、ここで原告、被告の両当事者(または代理人)が登場し、訴状とこれに対する答弁書で、被告が何を争うのか、裁判の争点が示される。
しかし、この日、原告は原告本人と代理人が出廷。これに対し、被告は筑波大学もAKS(現Vernalossom)もともに、本人代理人そろって欠席、出てきたのは、裁判の争点について、2行と1行の「追って準備書面で認否する」だけの答弁書(以下の画像の通り)。
しかも、被告
Vernalossomの答弁書は、筆頭訴訟代理人の捺印ない未完書面。
これでは、被告が何を争うのかさっぱり分からず、肝心の裁判の争点は全く示されなかった。
もちろん、提訴直後に原告の論説が公開されていたリポジトリのダウンロードページが消去された問題も(その詳細は->こちら)、原告がその理由説明を求めた(原告準備書面(1))のに対し、何の説明も示されなかった。

本日の手続の概要

原告は、訴状訴状訂正申立書準備書面(1)を陳述。

欠席の被告両名は、以下の答弁書を擬制陳述。

次回には、被告両名から、訴状訴状訂正申立書の請求原因(訴えを基礎づける主張)に対する認否と反論を準備。
これ真っ当に準備したら、ここで、
被告が何を争うのか、裁判の争点が初めて示されることになります。請うご期待のほどを。

次回第2回の弁論期日

10月27日(水)午後1時30分。法廷は同じ6階631号法廷。

本日の被告の振舞いに対する原告代理人の感想

もともと、国立大学の筑波大学は行政機関の1つとして、民間の組織以上に、法令遵守(コンプライアンス)が求められる。つまり組織の行動にあたっては、事前にその適法性について検討した上で行動することが求められる。大学の研究者から、彼の論説をリポジトリから削除した大学の行為
コンプライアンスに違反しているのではないかと具体的な根拠を示して問われたが本件事件だ。だとしたら、その問いに対し、筑波大学は、自身の行為がコンプライアンスに違反していないことを質問者に対し、具体的に説明する責任がある。それを実行しない限り、いくら「コンプライアンスを推進する」ぞと規則(->こちら)を作り気勢をあげたところで、絵に描いたもちにすぎない筑波大学が本当に「コンプライアンスを推進する」決意があるかどうか、説明責任を誠実に果そうとしているかどうかは、本件のような生きた、具体的な問題を通じて判明する
この意味で、筑波大学は、今日、ペラ1枚足らずの答弁書という自らの行為によって、裁かれた。

関連情報               

・6月18日の提訴の報告 ->こちら             
・訴状 ->こちら

提訴直後に原告の論説が公開されていたリポジトリのダウンロードページが消去された問題
 ->こちら  
・本件事件の経過年表 
->こちら 
原告の陳述書 
->こちら 


被告筑波大の答弁書 PDFは->こちら

被告Vernalossomの答弁書 PDFは->こちら



 

2021年9月1日水曜日

【報告】本日、被告筑波大学から2行の答弁書が提出(21.9.1)

 本日、被告筑波大学から答弁書が提出。

原告は、今年3月4日に、学問の自由の侵害に対し筑波大学を提訴すると公に宣言(そのブログは->こちら)。
6月18日の提訴直後に記者会見を開き(その動画を20日に公開->こちら)、全64頁の訴状も公開している(こちら)。

裁判所からの第1回期日の連絡(->こちら)も、7月15日頃に届いている。

事前に、これだけ情報が伝わり、6月20日頃には訴状の内容も分かっていたはずなのに、それから2ヶ月以上も経った本日(9月1日)、筑波大学が全64頁の訴状に対し答弁してきたエッセンスは次の2行だけ。

たったこれだけ言うために、2ヶ月以上も費やしたのだろうか。
原告、原告の論説に対する筑波大学の組織運営がコンプライアンス(法令遵守)に違反しているとその責任を追及している以上、これを受けて立つ
筑波大学は、みずからの運営がンプライアンス(法令遵守)に違反していないことを、明確に説明する責任がある。
しかし、この間、筑波大学はその責任を果さず、ズルズルとお茶を濁してきたから、原告は我慢の限界に達し、提訴するしかないと決意した。

しかし、 筑波大学は提訴されようがされまいが、自分たちが説明責任を果さない姿勢は不変であると、その態度を、この答弁書でも首尾一貫させた。見事というほかない。

だとしたら、これはもう、「大学失格」、公の存在であることを忘れた私物大学。
そんなものには、退場してもらうしかない。
 

そう思うのは、私だけだろうか。 

2021年8月31日火曜日

提訴で提出した証拠の説明書

 以下は、6月18日の提訴の時に提出した証拠(書証)の説明書です。全文PDFは->こちら

このうち、最も重要な原告の陳述書(甲1)は->こちら






本件事件の経過年表&原告の陳述書

 以下は、原告平山朝治と被告筑波大学、被告AKSとの学問の自由の侵害をめぐる紛争について、時系列にまとめた年表です(拡大は→年表をクリック)。全文のPDF->こちら

年表の一番右の証拠(甲号証)の詳細は->証拠説明書を参照。

最も基本的な証拠である原告の陳述書(甲1)は->こちら


2021年7月22日木曜日

【報告】提訴直後に原告の論説が公開されていたリポジトリのダウンロードページが変更(消去)された問題で、真相解明を求める書面と証拠を提出(21.7.22)

本日、題名の問題で、原告準備書面(1)とその証拠である原告陳述書(2)ほかの証拠を提出しました。

原告準備書面(1)のPDF->こちら。原告陳述書(2)のPDF->こちら。証拠説明書(3)のPDF->こちら

本年6月の提訴まで、原告の論説が公開されていた筑波大学のリポジトリのダウンロードページは以下の通りで、そこからダウンロードしたファイルを開くと<一時公開を停止>と表記されていました。

しかし、提訴後、この「一時公開停止」と書かれたファイルのダウンロードページが、以下のように変更されてしまいました。これでは原告の論説が<一時公開を停止>中なのかどうかさえ分かりません。

この画面には、原告の論説に関する情報は全くありません。つまり、<一時公開を停止>中にもかかわらず、外部の人には、原告の論説は筑波大学のリポジトリから永久に追放されたかのように、その存在が抹消されてしまいました。

筑波大学は、こんなひどい、むごい仕打ちをなぜしたのでしょうか。それは原告が筑波大学を提訴したから、それ以外には思い浮かびません。

原告が筑波大学を提訴に及んだ最大の理由は、原告の論説の扱いをめぐって筑波大学は学問の自由の侵害をしているのではないかという原告の疑問に筑波大学は真摯に答えるという説明責任を果そうとしなかったからです。そこで、いざ提訴したら、筑波大学が、真っ先にやったことは、原告の疑問に答えるという誠実な態度とは間逆の、原告の論説を筑波大学のリポジトリから永久に追放するような仕打ちではないでしょうか。

そこで、この事実を報告した原告陳述書(2)と原告準備書面(1)を本日、裁判所に提出し、信じられないようなこの出来事(仕打ち)の真相解明を求めました。
筑波大学がどう応答してくるか、楽しみです。

 

2021年7月14日水曜日

第1回裁判の期日は9月8日(水)午前10時

本日、第1回口頭弁論の日が次の通り、決まりました。
皆さんの傍聴をお待ちします。

 ***************
日時:9月8日(水)午前10時
法廷:東京地裁6階631号法廷
担当部:民事第5部

地図 ->こちら



                        東京地裁の建物全景 

2021年7月13日火曜日

【報告】原状回復の理由の追加など訴状の補正の書面と証拠を提出(21.7.13)

 訴状提出後、裁判所からの連絡を受け、本日、訴状の補正をした以下の書面と証拠を提出しました。

訴状訂正申立書 PDFは->こちら

証拠説明書(2)  PDFは->こちら 

甲 44~45

 ***************

令和3年(ワ)第15814号 ウェブページ原状回復等請求事件     

原  告  平 山  朝 治

被  告  国立大学法人筑波大学 外1名

 

訴状訂正申立書

2021年 7月 13日

東京地方裁判所民事第5部乙合議にA係  御中

 

原告訴訟代理人 弁護士  柳原 敏

 

 頭書の事件について、原告は以下の通り、訴状を訂正する。

1、請求の趣旨2項

 以下の通り、訂正する。

「2、被告両名は原告に対し連帯して金1200万円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。」

 

2、請求の趣旨1項及びその請求の原因について
請求原因第8を、下記の通り訂正する。

                              記

第8、原状回復

1、以上の通り、被告大学の行った本削除はいずれも原告の研究発表の自由の侵害に該当し、違憲無効である。なおかつ他者の権利を侵害すると認められた場合に限って本リポジトリから削除できるとした被告大学の規則「筑波大学学術機関リポジトリに関する要項」第8項(甲10)にも違反し、法令違反により無効である。そこで、このような違憲無効及び法令違反により無効な本削除(侵害行為)に対し、原告は現に行われている当該侵害行為を排除することができるか。

 結論として原告は当該侵害行為を排除することができる。その理由は以下に述べる通りである。

2、「原状回復」と「差止」と「侵害排除」の用語について

予め、用語について述べておく。請求原因第8では「原状回復」という概念を使用したが、これは「差止」或いは「侵害排除」と同じ意味で使っている。なぜなら、平井宜雄によれば、「原状回復」とは過去に発生した損害の除去の場合であるのに対し、「差止」とは将来において発生する損害の防止の場合と定義するが(甲65の2「債権各論Ⅱ不法行為」105頁(3))、そうだとすると本件は依然本論説が本リポジトリから削除された状態のままであり、将来において発生する損害の防止を求めて侵害行為の排除を求めているものだから、本件は「差止」ということになるからである。また、被告大学の侵害行為の排除を求めているという意味で、原告の主張は「侵害排除」のことである。最高裁も北方ジャーナル事件判決(最判昭和61年6月11日)で、名誉侵害の被害者は、「加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる」と「差止」の内容として「侵害排除」を掲げている。

以下、「差止」或いは「侵害排除」という概念を使用するが、それは「原状回復」という概念と共通の意味で使用するものである。

3、原状回復請求権の法的根拠

(1)、差止請求権(原状回復請求権)の法的根拠としての人格権

「人間には、人間が人間であるがゆえの尊厳と守られるべき価値がある」という理念が公法において登場したのが人権宣言や憲法の人権条項だとすると、私法において登場したのが人格権である。すなわち、人格権は契約や相続や不法行為などに基づいて取得する権利とは異なり、そうした事実がなくても、ただ「人間であるという理由のみで有する権利」それが人格権である(甲64の1星野英一「民法典の体系及び人格権について」138頁以下)。

従って、人格権は生命・身体・自由・名誉などのように、人間存在そのものに関わる利益をその内容とするものであるから、その侵害は人間存在そのものを脅かすものとなる。その結果、これに対しては侵害の排除を認めない限り救済の実を挙げられない。他方、目的物に対する排他的な支配権である物権においてはその侵害は排他的な支配権を脅かすものであるとして、従前から、これに対して侵害の排除=差止が認められている。この意味で、人格権も物権に準じた権利として侵害の排除を認めること、すなわち「差止」を認めるのが適切である。最高裁も北方ジャーナル事件判決で、名誉侵害の被害者は、「人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる」と人格権を根拠に「差止」(侵害行為の排除など)を認めた(以上につき、甲65の2平井宜雄「「債権各論Ⅱ不法行為」106頁注(1)。甲64の1星野英一「民法典の体系及び人格権について」142頁⑦参照)。

(2)、人格権の分類と価値の序列

前述の通り、人格権の特徴は個人の尊厳に由来し、ただ「人間であるという理由のみで有する権利」である。そして、憲法上の基本的人権と対応する関係にある。この意味で、人格権のカタログの筆頭として、憲法上の基本的人権と対応する自由と平等が挙げられる(この点を強調するのは星野英一である。甲64の1「民法典の体系及び人格権について」140~141頁)。そこからさしあたり、次のような分類が可能である。
①.人間の平等
②.肉体的。精神的自由
③.狭義の人格的利益(従来の人格権)

④.私生活の秘密や平穏など

星野英一(甲64の1)によれば、学問の自由も日本国憲法に明文のある自由として②に掲げられている。そして、名誉権は従来の人格権として③に分類される。平井宜雄もまた、不法行為の要件論の「被侵害利益の重大さ」という法的価値の序列論で、自由を「人間の生存に直接関わる利益が最も重大である」人格権の1つとして最上位に位置づけ、これに対し、名誉・プライバシーは最上位の自由と比べ「同程度に重大だと直ちに断じることはできないであろう」と、それより下位か或いは同等の位置づけをしている(甲65の1「債権各論Ⅱ不法行為」39頁)。

(3)、学問の自由の侵害に対する救済

そこで、人格権としての名誉権については、これが侵害された場合に差止が認められているのは前述した通りである。そうだとしたら、人格権の序列において、名誉権より上位にある、或いは少なくとも名誉権と同等の地位にある学問の自由についても、もしこれが侵害された場合には名誉権以上に、或いは少なくとも名誉権と同等の、人間存在そのものに関わる利益が脅かされることになるのだから、これに対する救済の実効性を期すためには「差止」を認めるのが妥当適切である。

(4)、本件

本件において、被告大学により原告の学問の自由(研究発表の自由)が侵害されたことは請求原因第5及び第6で主張した通りである。従って、本件の学問の自由の侵害に対して、原告に侵害行為(本削除)の排除=「差止」が認められる。

のみならず、「差止」が認められて原告は初めて本件紛争から解放されるのであって、たとえ損害賠償請求が認められても「差止」が認めれらない限り、被告大学が本論説を本リポジトリから削除した状態をし続ける限り、原告は将来何度もくり返し、被告大学を相手に損害賠償請求訴訟を提起しなければならない。それは理不尽の極みである。「紛争の終局的解決」という民事訴訟の目的達成という観点からも、本件の学問の自由の侵害において、「差止」が認められることが必要不可欠である。

 以 上

        ***************

令和3年(ワ)第15814

原  告  平 山  朝 治

被  告  国立大学法人筑波大学 外1名

証 拠 説 明 書 ()

2021年 7月13日

東京地方裁判所民事第5部乙合議にA係  御中

原告訴訟代理人弁護士 柳 原  敏 夫  

1、書証(甲64~65)

甲号証

標     目

(原本・写の別)

作 成

年月日

作成者

立 証 趣 旨

備考

64

の1~2

「民法典の体系及び人格権について」(138~142頁)

〔民法論集第十巻〕所収)

2008.5

星野英一

・人格権の由来(個人の尊厳から派生した)について
・人格権の分類の第1に、憲法上の基本的人権と対応する自由と平等を挙げたこと。
・人格権の分類の自由の中に「学問の自由」も含まれ、名誉権より先に登場すること。

 

65の1~3

「債権各論Ⅱ不法行為」

1996.5.30

平井宜雄

・「原状回復」と「差止」という概念のちがいについて
・人間存在そのものに関わる利益をその内容とするものである人格権について差止を認める根拠について
・「被侵害利益の重大さ」という法的価値の序列論で自由を最上位に位置づけ、名誉・プライバシーはそれより下位か同等の扱いをしていること。

 

 

 

2021年6月23日水曜日

【ブログ再開の言葉】なぜ今、学問の自由の侵害なのか(21.6.23)

 民主主義が幕を閉じ、独裁国家が完成するというのはお隣の香港やミャンマーの話だけではなくて、この私たちの国で進行中の話だ。
ただし、この国の光景は香港やミャンマーのように市民に対する公然の強権的な弾圧や抑圧ではなく、このたび開示された森友学園の財務省決済文書改ざん問題の「赤木フィアル」が示すように、もっと陰険で、陰でコソコソ、そしてジワジワと抑圧が進められる。
その結果、私たち市民の知らない間に、民主主義の基盤・中核部分が破壊されていき、民主主義から独裁体制にじわりじわりと移行する。
その民主主義の基盤・中核の1つが、今日の文明社会の科学・技術・文化を担う知識人、研究者、技術者たちの市民的自由とりわけ彼らの発言の自由、表現の自由。それが学問の自由と言われるものだ。
彼ら知識人、研究者、技術者たちが帰属する組織は「言うことを聞かなければココから排除する」と恐怖心をもって彼らを制圧し、メシを食うためには発言の自由、表現の自由は押し殺さなければならないことを悟らせる。
その結果、彼ら知識人、研究者、技術者たちは自分たちに発言の自由、表現の自由があったことを忘れる「歌を忘れたカナリア」になるか、忘れずにそれらの自由は心の奥にしまい込んだ「隠れキリシタン」のいずれかになってしまう。
これが権力者にとって理想的な、強権的な弾圧や抑圧が見えない、臭わない、痛みもない独裁体制である。
いま、この国で進行しているのは、放射能災害のような、見えない、臭わない、痛みもない「理想的な独裁体制」だ。

この息が詰まるような「理想的な独裁体制」にノーという声をあげたひとりが4年前、東京大学による学問の自由の侵害を告発した柳田辰雄東大教授(当時)。そして、今月、筑波大学による学問の自由の侵害を告発した平山朝治筑波大教授。
彼らは、知識人の市民的自由の大切さを、単に象牙の塔の教壇の上から語るのではなく、現実の場で勝ち取るために象牙の塔の外に出て、提訴という行動に出た。
それは市民にとっては迂遠な、無関係な雲の上の出来事に写るかもしれない。
しかし、それは「歌を忘れたカナリア」になることも「現代の隠れキリシタン」になることも拒否した、「歌を取り戻すカナリア」の出現である。
かつて、炭鉱事故を察知するために坑内に「カナリア」が置かれた。「カナリア」はいち早く炭鉱事故を察知し、その危険を訴えたから。
学問の自由の侵害を告発した彼らもまた民主主義の事故(独裁体制)を察知するために社会に出現した「カナリア」である(
)。
彼らが目指すのは、彼ら自身の人権の回復にとどまらず、私たち市民にとってかけがいのない、人が人として尊重される民主主義の基盤・中核を取り戻すことそのものである。 
                                                                             (文責 柳原敏夫)

)それは日本の戦前の歴史が証明している。戦前、京大と東大で起きた学問の自由の侵害事件(1933年の滝川事件、1935年の天皇機関説事件)を境に、日本社会は民主主義が幕を閉じ、独裁国家が完成する分岐点となった。
この2つの事件の歴史的意義を自らの体験も交えて強調するのは政治思想史家の丸山真男である(
『丸山眞男回顧談』ほか)。

提訴のお知らせ:2021年6月18日、筑波大学とAKS(現Vernalossom)を被告として、ネット公開済みの論説削除という学問の自由の侵害を理由とする原状回復等の請求の訴えを起こしました。

  時事通信の記事『削除は違憲筑波大を提訴 アイドル暴行事件論文で教授 東京地裁」より
 向かって中央が原告(
平山朝治)、右が柳田VS東大「学問の自由」侵害裁判の原告(柳田辰雄)、左が原告代理人(柳原敏夫)。

【裁判の当事者】

①.原告

平山朝治筑波大学人文社会系教授。

198912東京大学大学院経済学研究科理論経済学・経済史学専攻第2種博士課程修了

1986年4月~1990年5月 東京大学助手教養学部

 201110月 筑波大学人文社会系准教授

 2013年4月  筑波大学人文社会系教授 現在に至る。

1989年 経済学博士(東京大学)

②.被告

国立大学法人筑波大学

株式会社Vernalossom2020年4月1日、株式会社AKSから社名変更)


【事件の概要】

 原告は、論文「NGT48問題・第四者による検討結果報告」の著者です。本論文は昨年1月より筑波大学のリポジトリで一般公開され話題となっていたところ、昨年4月、株式会社Vernalossom(旧社名AKS。以下、AKSという)より「本論文は当社の名誉毀損にあたり、リポジトリからの削除を求める、さもなければ提訴する」という抗議文が原告と筑波大学に寄せられました。それに対し、筑波大学は自分の大学に所属する原告の学問の自由の擁護に努めるのではなく、「提訴を避けたい」という我が身の保身しか考えず、原告に内密にAKSと連絡を取り、すぐさま原告に無断で、筑波大学のリポジトリから本論文を削除して、これにより、原告の学問の自由を侵害するために貢献しました。

のみならず、この削除を知った原告の度重なる抗議にもかかわらず、さらには、AKSの抗議文を調査するため大学が設置した調査委員会の報告書が「論文の内容が名誉棄損であるとはいえない」と結論を出したにもかかわらず、筑波大学はAKSとの密約を履行するため、迅速に削除した後1年以上にわたり現在に至るまで、首尾一貫して、本論文をリポジトリに再公開しようとしません。その結果、AKSとの密約に誠実な筑波大学のおかげで、原告の本論文を発表する自由は重大な侵害を受けました。

今回の事件は、本来、所属する研究者の学問の自由を擁護する立場にある大学がこともあろうに、所属する研究者の学問の自由の侵害を自ら進んで手を貸して実行・継続するという、大学としてあるまじき前代未聞の醜聞、大学の自殺行為です。この裁判はこうした異常事態をただし、もって、学問の自由の回復をめざそうとする取り組みです。

 
【裁判資料】

・訴 状こちら

・事件の経過年表こちら

・原告の陳述書(甲1)->こちら

・証拠説明書()(甲1~63)->こちら

・提訴にあたっての原告の所信->こちら

・記者会見資料:「<論説>NGT48 問題・第四者による検討結果報告」つくばリポジトリ・ダウンロードページ等の変遷


【マスコミ報道】

NHK ―> 筑波大教授「NGT48」問題論文 大学ホームページから削除で提訴

時事通信 -> 「削除は違憲」筑波大を提訴 アイドル暴行事件論文で教授 東京地裁

産経新聞 ―>NGT48問題論文削除「学問の自由侵害」と提訴


【記者会見の映像】

2021.6.18筑波大教授VS筑波大・AKS /論説「NGT48 問題・第四者による検討結果報告」をめぐる「学問の自由」侵害裁判の提訴直後の会見(東京地裁司法記者クラブ)