東京地裁の傍聴席のセッティング(2020年6月2日NHKニュースから)
予定通り、9月8日(水)午前10時から東京地裁で第1回の裁判。
本来なら、ここで原告、被告の両当事者(または代理人)が登場し、訴状とこれに対する答弁書で、被告が何を争うのか、裁判の争点が示される。
しかし、この日、原告は原告本人と代理人が出廷。これに対し、被告は筑波大学もAKS(現Vernalossom)もともに、本人・代理人そろって欠席、出てきたのは、裁判の争点について、2行と1行の「追って準備書面で認否する」だけの答弁書(以下の画像の通り)。
しかも、被告Vernalossomの答弁書は、筆頭訴訟代理人の捺印がない未完書面。
これでは、被告が何を争うのかさっぱり分からず、肝心の裁判の争点は全く示されなかった。
もちろん、提訴直後に原告の論説が公開されていたリポジトリのダウンロードページが消去された問題も(その詳細は->こちら)、原告がその理由の説明を求めた(原告準備書面(1))のに対し、何の説明も示されなかった。
◆本日の手続の概要
欠席の被告両名は、以下の答弁書を擬制陳述。
次回には、被告両名から、訴状と訴状訂正申立書の請求原因(訴えを基礎づける主張)に対する認否と反論を準備。
これを真っ当に準備したら、ここで、被告が何を争うのか、裁判の争点が初めて示されることになります。請うご期待のほどを。
◆次回第2回の弁論期日
10月27日(水)午後1時30分。法廷は同じ6階631号法廷。
◆本日の被告の振舞いに対する原告代理人の感想
もともと、国立大学の筑波大学は行政機関の1つとして、民間の組織以上に、法令遵守(コンプライアンス)が求められる。つまり組織の行動にあたっては、事前にその適法性について検討した上で行動することが求められる。大学の研究者から、彼の論説をリポジトリから削除した大学の行為はコンプライアンスに違反しているのではないかと具体的な根拠を示して問われたのが本件事件だ。だとしたら、その問いに対し、筑波大学は、自身の行為がコンプライアンスに違反していないことを質問者に対し、具体的に説明する責任がある。それを実行しない限り、いくら「コンプライアンスを推進する」ぞと規則(->こちら)を作り気勢をあげたところで、絵に描いたもちにすぎない。筑波大学が本当に「コンプライアンスを推進する」決意があるかどうか、説明責任を誠実に果そうとしているかどうかは、本件のような生きた、具体的な問題を通じて判明する。
この意味で、筑波大学は、今日、ペラ1枚足らずの答弁書という自らの行為によって、裁かれた。
◆関連情報
・6月18日の提訴の報告 ->こちら
・訴状 ->こちら
・提訴直後に原告の論説が公開されていたリポジトリのダウンロードページが消去された問題 ->こちら
・本件事件の経過年表 ->こちら
・原告の陳述書 ->こちら
◎被告筑波大の答弁書 PDFは->こちら
◎被告Vernalossomの答弁書 PDFは->こちら