昨日の一審判決のクライマックスは、「3つの手続違反」の3番目、
被告東京大学の公文書偽造(正確には虚偽公文書作成)の有無です。
具体的には、真実は開催もされていない会議で、教授人事の分野の変更が討議され、承認されたという内容の文書です(その結果、当初予定していた分野での教授人事がつぶされた)。
今回の判決で、裁判所がこれが虚偽ではないと認定した理由は、関連訴訟の前訴の証人尋問で、原告がこの会議に出席したと証言したからだ、でした。
しかし、原告に言わせると、事件から3年後の前訴の原告本人尋問で、教授人事の委員会に出席した記憶があったけれど、日付を覚えておらず、そこで、問題の公文書に書かれていた11月25日の日付にしたがって、この会議に出たと証言したのでした。
ところが、その後、本訴の準備の中で、過去メールをすべてチェックしたところ、11月11日に教授人事の委員会が開かれ、その開催の招集メール(※)も原告のもとに来ていたのに、他方の11月25日の開催の招集メールはついに見つからなかったこと、そこで、そもそも11月25日の会議は開かれておらず、誰もそこに出席していなかったjことを初めて知り、自分の勘違いに気がつき、本訴でこれを主張しました。
しかし、裁判所は、それは「お前の言い訳だ」と原告の勘違いを認めませんでした。
つまり、裁判所は、原告は東京大学の公文書が偽造だとつゆ思わず、真正に作成されたものとばかりに信じて、この日に出席したと思い込み、そう証言したのだと主張するが、それは言い訳だ、「東京大学の公文書が偽造だとつゆ思わない」なんて言わせない、東大の公文書はいつでも偽造かもしれないと用心して思って読むのが常識だ、として、原告の勘違いは弁解でしかないとしたのです。
確かに、森友文書書換え発覚以後、「東大の公文書も偽造かもしれないと用心して思って読むのが常識」になりつつあるかもしれないが、森友問題発覚以前は一般市民は、こんな考えは持たない。良識(コモンセンス)が非常識極まりない。空気を読むことには長けている裁判官に決定的に欠けているのが、このコモンセンスです。
そして、ここから伝わってくるのは、どんな屁理屈を使ってでも、被告東京大学を守るという不退転の決意です。こんな決意のために、回りまわって、最終的に、私達市民の命、健康、暮らしが書き換えられ、脅かされることになるのです。このような不条理なやり方は断じて、絶対に許すことはできません。
(※) 11月11日開催の委員会招集メール
原告主張
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一審判決
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言うまでもなく、分野変更においては、本来なら、分野変更のために設置された分野選定委員会を招集・開催して、分野変更について審議・決定の手続を経る必要がある。しかし、本件においては、当該野選定委員会の招集、開催の事実はなく、従って、2009年11月25日にこれが開催され、分野変更について審議し、全員一致で承認したという審議結果報告書(甲18の3・同20の2)は虚偽である(原告準備書面(2)第1、7)。
これに対し、被告は上記原告主張を全面的に否認し、審議結果報告書(甲18の3・同20の2)の内容の通り、2009年11月25日に上記分野選定委員会が開催され、分野変更について審議し、全員一致で承認したと主張する(被告第3準備書面第1、4)。
「2009年11月25日の分野選定委員会の開催・審議・決定」の有無をめぐって双方で真っ向から主張が対立する以上、双方とも自身の主張について、その裏付け(被告であれば否認の理由)を明らかにする必要がある。
そこで、原告は、この点の事実関係を解明するため、後述の通り、求釈明と人証申請する。
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前記③の点については、証拠(乙12)によれば、本件前訴(本人尋問)において、原告自身、平成21年11月25目に行われた分野選定会議に出席していたことを由確に自認し、これが同日の学術経営委員会の前に開催されたと記憶していることやそこでの審議の内容等(選考の分野が変更されたことについての原告の認識やその時点における考えに係る内容を含む。)について具体的に供述していることからしても、これを同月11日の選考委員会と勘違いしたとする本訴における供述等(甲63、原告本人尋問の結果等)は到底信用することができない。
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求釈明
(1)、被告は、分野選定委員会を11月25日に開催する旨の招集通知が出された事実を認めるのかそれとも否認するのか、認めるのなら誰がどういう方法で出したのか、明らかにせよ。
(2)、もし認めるのであれば、誰がどういう方法で出したのか、明らかにせよ。
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被告は回答せず。
判決も被告の未回答について言及なし。
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証人申請
(1)、正彦国際協力学専攻長
(2)、味埜環境学系系長
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証人申請を却下。真相解明をしない、と。
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