東大大学院教授、大学を提訴「内規違反などで自由侵害」
問題の箇所は2箇所。まず、冒頭の
「東京大大学院の教授が、内規に反する手続きで別の教授が採用されたことで、学問の自由が侵害されたとして、同大を相手取り慰謝料1千万円の一部として1円の損害賠償を求める訴訟を25日、東京地裁に起こした。」ブログの記事「提訴の報告:・・・」の【事件の概要】に述べた通り、本件訴訟の訴えは、
分野変更の手続において内規により本来取らなければならない民主的な手続(会議の審議・決定等)を取らずに分野変更を決定したことに手続上に重大な違法があり、その結果、その分野が違法に廃止され、そのために、その分野を重要な柱の1つとして学融合を進めてきた原告の学問研究は重大な支障を来たすに至った。それは学問の自由の侵害に該当する、
というものです。
事前に記者クラブに配布した会見資料(→こちら)を見ていただければ、また、当日配布した訴状と「分野変更&人事手続きの流れ」とレクチュア(→動画)を見ていただければ、「別な教授が採用された」という人事そのものを問題にしたことが一度もないことは明白です。
むしろ本件訴えを人事自体の問題に歪曲されないように、配布した訴状で、次のように断っています。
本件訴訟に関連して、かつて、原告も共同原告の一人として、被告東京大学らを訴えたことがある(御庁平成24年(ワ)第4734号損害賠償請求事件。甲37・同38)。しかし、それは主にこの時の教員選考手続に焦点を当て、その違法性を問うたものであった。これに対し、本件訴訟はもっぱら分野変更の手続に焦点を当て、その違法性を問うものである。(訴状2頁6行目)
さらに、 中ほどの
「2010年に、もう1人の教授を公募で採用することになったが、教員らによる会議での審議や決定をしないなど研究科の内規違反があったという」しかし、本件訴訟で、原告が内規違反を問題にしているのはもっぱら分野変更の手続(一番最初の発議の段階で、「教員らによる会議での審議や決定をしなかった」など)のことで、教授の採用のことではありません。
もちろん本件の分野変更のあとの教員選考手続においても様々な問題があったことは事実ですが、本件訴訟にとって、それは核心部分ではなく、あくまでも付随的な事情にとどまります。
改めて、本件訴訟で問うているのは分野の変更の手続違反という問題であって、別な教授が採用されたといった人事の手続の問題ではないことを訴える次第です。
0 件のコメント:
コメントを投稿