2017年3月1日水曜日

【報告】第5回裁判(17.3.1)

本日、予定通り、第4回期日(非公開の準備手続)を実施しました。

23日、原告より、前回の宿題(今回の違法な手続と学問の自由の侵害との関係を具体的に明らかにすること)について、以下の準備書面と原告の陳述書3を提出。

24日、被告より、前回の宿題(原告の今回の書面に対する反論)が提出。

第2準備書面 -->こちら
‥‥その内容は、答弁書と第1準備書面のくり返しで、前訴でケリがついたのだから本訴を行なう意味はないから直ちに却下すべし、という門前払いの判決を求めるもの。

27日、原告より、被告のこの第2準備書面に対する反論の書面。
‥‥その内容は、
①.学問の自由の侵害に関する主張の整理、
②.裁判所に対し、門前払いの主張から前に進もうとしない被告の態度が正しいかどうかを判断する中間判決を求めたもの。

本日、裁判所は「門前払いを求める」被告の訴えを認めず、本題に入るように、すなわち、被告に、本訴の主要論点である「本件人事1に関する分野変更手続の違法性」及び「学問の自由の侵害」について次回までに反論するように指示しました。

次回は4月7日(金)15時30分。

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平成28年(ワ)第24543号 損害賠償請求事件     
原  告  柳田 辰雄
被  告  国立大学法人東京大学 
原告準備書面 (3)
2017年 2月23日
東京地方裁判所民事第14部合2A係 御中

原告訴訟代理人 弁護士  柳原 敏

本書面は、第1に、「国際政策協調学」分野を「社会的意思決定」分野に変更した手続(以下、本件分野変更手続という)が違法である根拠となる被告の内部規則が判明したこと、第2に、違法な本件分野変更手続により原告の学問の自由が侵害された具体的な内容について明らかにしたものである。

目 次

1、第2の手続違反――基幹専攻会議で分野の選定について審議・決定の不存在――の根拠となる被告の内部規則                     1頁


2、本件人事1の違法な手続と原告の学問の自由の侵害との関係           2頁

1、第2の手続違反――基幹専攻会議で分野の選定について審議・決定の不存在――の根拠となる被告の内部規則


今般、原告は、原告準備書面(2)6頁で主張した第2の手続違反すなわち基幹専攻会議で分野の選定について審議・決定の不存在――の根拠となる被告の内部規則を入手したので、証拠として提出する(甲50~52)。
 これは2003年(平成15年)9月17日の学術経営委員会で承認、制定された「教官選考に当たっての分野及びポストの審議に関する申合わせ」(以下、本件規則という)であり、教員人事における分野及びポストの審議のために新たに分野選定委員会を設置し、その具体的な運用について定めたものである。
注目すべきなのは、本件規則(当初の甲50及びその後改正の甲51、同52のいずれも)の注釈として、
注1.「分野及びポスト」の変更が生じる場合は、再度、発議からやり直す。
と明記していることである。
すなわち、発議により学術経営委員会で教員人事が進められている中で、「分野及びポスト」の変更が生じる場合には、人事手続として、最初から、発議からやり直す必要があることが明らかにしたものである。
 従って、原告準備書面(2)6頁で主張した通り、国際政策協調学の教授人事(以下、本件人事1と略称)において、既に決まっていた国際政策協調学分野を社会的意思決定に変更する場合には、発議した専攻の基幹専攻会議で分野の変更について審議・決定して「発議をやり直す」ことが必要であるのに、それをしなった本件人事1は本件規則に違反することが明らかであり、違法と言わざるを得ない。

2、本件人事1の違法な手続と原告の学問の自由の侵害との関係
(1)、結論
原告準備書面(2)及び上記1で主張した通り、本件人事1の手続は違法であり、この違法な手続により、国際政策協調学の教授人事の実現が妨げられた。その結果、国際政策協調学の新任教授との間で進めようと準備していた原告の本学融合(その具体的な内容は(2)で述べる)の取り組みは頓挫し、本学融合の研究に多大な支障をもたらした。これは原告にとっての学問の自由の重大な侵害にほかならない。
(2)、本学融合の具体的内容
本学融合の具体的内容は今般提出の甲48原告陳述書(3)2に述べた通りである。すなわち、
①.学問の対象は「国際システムの秩序と安定」である。
②.学問の方法は『経済、政治、法が相互依存及び相互作用する国際社会の動態全体をリアルに捉えるために、国際社会における経済、政治、法の相互依存及び相互作用を正面から探求する新しい研究方法を採用した。それが従来の経済学、政治学および法学の再統合である。具体的には「国際政治経済システム学」、「国際政策協調学」及び「国際環境組織論」の3つの分野の研究者がぞれぞれの分野の研究成果を持ち寄り、その相互交流・意見交換を通じて、国際社会における経済、政治、法の相互依存及び相互作用を共同で探求すること』である。
 この立場から、原告のイニシアチブにより、1999年、環境学専攻の下に国際環境基盤学大講座が設立されたとき、この大講座の中に、社会科学における国際政治学、国際経済学および国際法の3つの分野の研究者を集めることが決まり、2006年4月、大講座が国際協力学専攻に改組された後は、制度設計講座の中に「国際政治経済システム学」、「国際政策協調学」及び「国際環境組織論」の3つの分野の研究者を集めることが決まったのである。
(3)、本件人事1の違法な手続による本学融合の頓挫
 しかるに、2010年5月、学術経営委員会で教授選考委員会が設置され、国際政策協調学の教授人事がスタートしたが、その募集活動のさなか同年11月に突然、この教授人事は一方的に中断され、発議した国際協力学専攻の基幹専攻会議で変更の説明も変更の審議・了承もないまま、教授人事の分野が国際政策協調学から社会的意思決定に変更された。1で前述した通り、この人事手続は本件規則に違反する違法なものであり、この違法な人事手続の結果、国際政策協調学の教授人事は実現できなくなった。
そのため、国際政策協調学の新任教授との間で進めようと準備していた原告の本学融合の取り組みは頓挫し、本学融合の研究に多大な支障をもたらした。これは原告にとっての学問の自由の重大な侵害にほかならない。
以 上
  
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陳 述 書 (3)
2017年2月22日
 東京地方裁判所民事第14部 御中

             原告  柳 田 辰 雄            

1、はじめに
私が取り組んできた学融合(以下、本学融合といいます)について、陳述書(甲1)5頁で次のように述べました。
1999年、環境学専攻の下に国際環境基盤学大講座が設立されたときに、この大講座の中に、社会科学における国際政治学、国際経済学および国際法の3つの分野の学問を融合させることを目標として「国際政策協調学」と「国際政治経済システム学」と「国際環境組織論」の3つの分野が設立されました。
 私は、実在する「国際システム」を冷徹に理解する学問分野として、第1に「国際政治経済システム学」を、第2にこの国際システムにおいてどのような政策協調が、多国間で可能となり、第3に国際システムの多国による国際組織を通じた維持管理が行えるかを研究することを構想しました。
 より具体的には、国際政治経済システム学は国際システムの動態的な構造をより客観的に理解することを目的とし、国際政策協調学は、その国際システムがよりよく機能するために、2国間および多国間の政策の協調を研究する学問です。国際環境組織論は、国際連合等の組織自体のガバナンスという統治と自治を研究する学問です。》
 今回、本件の違法な分野変更手続により本学融合がどのように侵害されたか、という観点から本学融合について説明を補充します。

2、本学融合の研究方法
 本学融合により私が目指した学問研究を一言で言えば、その学問の対象は「国際システムの秩序と安定」であり、その学問の方法は従来の経済学、政治学および法学を再統合することでした。従来の経済学、政治学と法学はそれぞれ経済、政治、法という特定の観点から社会を分析するもので、その方法によりそれなりの成果をあげましたが、しかし、経済、政治、法が相互依存及び相互作用する国際社会の動態全体をリアルに捉えるためには専門分野に特化した従来の研究方法では不十分であり、そのためには、国際社会における経済、政治、法の相互依存及び相互作用を正面から探求する新しい研究方法が不可欠でした。それが従来の経済学、政治学および法学を再統合するということでした。具体的には、「国際政治経済システム学」と「国際政策協調学」と「国際環境組織論」の3つの分野の研究者がぞれぞれの分野の研究成果を持ち寄り、その相互交流・意見交換を通じて、国際社会における経済、政治、法の相互依存及び相互作用を共同で探求するということでした。そのためには、この3つの分野の研究者が同一の研究施設で日常的に顔を突き合わせて、意見交換できる環境が必要でした。そのために、1999年、国際協力学専攻の前身である環境学専攻の下に国際環境基盤学大講座が設立されたとき、この大講座の中に、社会科学における国際政治学、国際経済学および国際法の3つの分野の研究者を集めることが決まり、2006年4月、大講座が国際協力学専攻に改組された後は、制度設計講座の中に「国際政治経済システム学」と「国際政策協調学」と「国際環境組織論」の3つの分野の研究者を集めることになったのです。

3、本学融合と本件の違法な分野変更手続の関係   
 2010年5月、学術経営委員会で教授選考委員会が設置され、国際政策協調学の教授人事がスタートしましたが、その募集活動のさなか同年11月に突然、この教授人事は一方的に中断されました。その上で、国際協力学専攻の基幹専攻会議で説明も了承もないまま、この教授人事の分野が国際政策協調学から社会的意思決定に変更されました。その結果、国際政策協調学の教授人事は実現しないことになりました。このような人事手続は悪質違法なもので断じて許すことができません。この悪質違法な人事手続の結果、予定していた国際政策協調学の新任教授は実現せず、国際政策協調学を不可欠の要素とする本学融合の取り組みは頓挫と言ってよいほどの多大な支障をもたらしたことは言うまでもありません。その詳細は陳述書(甲1)7頁以下に、4、国際政策協調学分野廃止が原告の学融合にとって与えた影響で述べた通りです。

4、国際政策協調学の新任教授実現のためのこの間の取り組み
 国際政策協調学分野で新任教授を得て本学融合を進めるために、この間、私は次のような取組みを続けて来ました。同時にこの取り組みは国際環境基盤学大講座及び改組後の国際協力学専攻で承認され、大講座及び専攻の取り組みとして行われたものです。
①.2004年10月、大講座から専攻への改組に向け、文科省に提出するために、専攻化のための「国際協力学専攻の目的と研究体制」という文書を大講座の中で検討して私が作成しました(甲4)。この文書の中で、国際政策協調学分野が専攻の制度設計講座の筆頭に明記され(3頁)、その重要性が強調されています。
②.2005年4月、国際政策協調学の教授職を国際公募することが大講座会議で承認されました。尤も、このときは教授間の意見の一致が得られず、最終候補者1名を絞ることができず、実現しませんでした。
③.この公募人事の不成立後にも、2006年4月には国際協力学専攻が創設され、第1回基幹専攻会議において、国際政策協調学の教授人事を再公募で進めることが確認されました(甲45同会議の議事録4頁12)。
④.2005年4月以降、専攻化に向け、分野等を確認する作業の中で、国際政策協調学を新任教授で行うことが決まりました(甲49参照 )。
⑤.2009年6月に、私は、基幹専攻会議で国際政策協調学の教授人事の再開を提案し,了承されました(甲6)。
 こうした一連の取り組みの末、2010年5月から、学術経営委員会において国際政策協調学の教授人事のための教授選考委員会が設置されました(甲7の3資料15)。
 しかるに,この人事は,募集のさなか突然の中断、突然の分野変更により頓挫してしまいました。その結果、制度設計講座において,社会科学の「学融合」の実践を目指すという私の構想も頓挫といっていいほどの大きな支障をきたしてしまったのです。
  以 上


       ***************
 
平成28年(ワ)第24543号 損害賠償請求事件     
原  告  柳田 辰雄
被  告  国立大学法人東京大学 
原告準備書面 (4)
2017年 2月2
東京地方裁判所民事第14部合2A係 御中

原告訴訟代理人 弁護士  柳原 敏

本書面は、第1に、学問の自由の侵害の具体的な内容に関する原告主張の整理、第2に、24日提出の被告第2準備書面に対する反論を述べたものである。

目 次

1、「本件人事1の違法な手続と原告の学問の自由の侵害との関係」に関する原告主張の整理


 本件人事1(その意味は原告準備書面(2)第1、1で述べた通り)の違法な分野変更手続の結果、いかなる態様により本学融合(その意味は原告準備書面(3)2(2)で述べた通り)の研究に重大な支障を来たし、学問の自由を侵害したかについて、従前、原告準備書面(2)及び同(3)でおこなった原告主張を次の通り整理する。
 すなわち、本件人事1の違法な分野変更手続の結果、次の2つの態様により本学融合の研究に重大な支障を来たした。この2つの態様の詳細は各原告準備書面の当該箇所で主張した通りである。
①.国際政策協調学の新任教授の採用が実現せず、その結果、原告と当該新任教授との本学融合の研究に重大な支障を来たした(原告準備書面(3)2参照)。
②.分野変更後の社会的意思決定で教授が採用された結果、制度設計講座の教授の定員枠は埋まり、教授ポストの国際政策協調学分野は自動的に廃止となった。その結果、本件人事1ののち、これまで通りの国際政策協調学分野の教授人事を実施することは不可能となり、原告と国際政策協調学の新任教授との本学融合の研究に重大な支障を来たした(原告準備書面(2)第1、8参照)。

2、中間判決の申立て


「国際政策協調学」分野を「社会的意思決定」分野に変更した手続(以下、本件分野変更手続という)が違法であり、その結果、原告が取り組んできた本学融合に重大な支障を来たしたことを具体的に主張した原告準備書面(2)に対し、被告は今般提出の第2準備書面の第1において、《かかる主張は前訴における主張とまったく同一であり、‥‥紛争を蒸し返すものといわざるを得ない》(1頁)と答弁書及び第1準備書面とまったく同一の主張を蒸し返している。
しかし、原告が既に原告準備書面()第2で、「本訴が前訴の蒸し返しでない」ことを個別具体的に立証しているの対し、(今般、湊准教授の論点では速やかに証拠を提出する)被告は、これに対する個別具体的な反証を何一つ実行しない。
 原告は、今回で、原告の請求原因事実とこれを基礎づける証拠を一通り提出し終わり、今後は、証人尋問の実施を希望している。よって審理の整理、証人尋問のために、請求原因事実に対する被告の認否は不可欠であるが、被告は今なお、それすら果していない。
そこで、原告は、「本訴は前訴の蒸し返しであり、訴え却下されるべき」であるという被告主張について、裁判所の中間判決の判断を求めるものである。

3、「本件人事1のあと、教授ポストの国際政策協調学分野は廃止されたか」について

(1)、原告主張に対する被告の擬制自白の成立
 今般、被告は、第2準備書面第2で原告準備書面(2)第2に対する反論を行った。しかし、以下の原告主張、
《被告の主張は、国際政策協調学の教授人事の分野変更によっても、国際政策協調学の准教授ポストは廃止にならないというにとどまり、国際政策協調学の教授ポストが廃止になることは否定していない。なぜなら‥‥》
に対しては黙したままでこれを争わない。すなわち本訴にとって核心的な事実である「本件人事1のあと、教授ポストの国際政策協調学分野は廃止された」ことについて、被告は明らかに争わないものであると解される(もし争う気があるのなら、速やかに主張すべきである)。
(2)、前訴の湊准教授の陳述書(乙8)について
 今般、被告は、前訴の湊准教授の陳述書(乙8)のプロフィールの中に、《国際政策協調学分野において准教授を勤めております》と記載されていると主張する。
 この点、湊氏に確認したところ、裁判の陳述書作成は初めての経験であり、本文以外の陳述書の様式・前書きは原告代理人に任せたため、この誤記(原告代理人が誤まって記載)に気がつかないまま、署名捺印したものである。二審でこの誤記に気がついたので、二審の陳述書(甲56)作成時には当該誤記は削除した、というものである。
 いずれにせよ、湊准教授の研究教育分野は遅くとも2005年9月以後「協調政策科学」であり、それは単なる彼個人の認識ではなく、当時の国際環境基盤学大講座全体の了解事項であった。その事実は、前回提出済みの書証である甲41号証、すなわち湊氏の分野が「協調政策科学」と記載された平成18(2006)年度入試案内書が2005年11月10日開催の上記大講座会議で審議・了解された上で作成されたことが同会議議事録(甲57)3(2)の記載からも明らかである。
以 上

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