2021年7月13日火曜日

【報告】原状回復の理由の追加など訴状の補正の書面と証拠を提出(21.7.13)

 訴状提出後、裁判所からの連絡を受け、本日、訴状の補正をした以下の書面と証拠を提出しました。

訴状訂正申立書 PDFは->こちら

証拠説明書(2)  PDFは->こちら 

甲 44~45

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令和3年(ワ)第15814号 ウェブページ原状回復等請求事件     

原  告  平 山  朝 治

被  告  国立大学法人筑波大学 外1名

 

訴状訂正申立書

2021年 7月 13日

東京地方裁判所民事第5部乙合議にA係  御中

 

原告訴訟代理人 弁護士  柳原 敏

 

 頭書の事件について、原告は以下の通り、訴状を訂正する。

1、請求の趣旨2項

 以下の通り、訂正する。

「2、被告両名は原告に対し連帯して金1200万円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。」

 

2、請求の趣旨1項及びその請求の原因について
請求原因第8を、下記の通り訂正する。

                              記

第8、原状回復

1、以上の通り、被告大学の行った本削除はいずれも原告の研究発表の自由の侵害に該当し、違憲無効である。なおかつ他者の権利を侵害すると認められた場合に限って本リポジトリから削除できるとした被告大学の規則「筑波大学学術機関リポジトリに関する要項」第8項(甲10)にも違反し、法令違反により無効である。そこで、このような違憲無効及び法令違反により無効な本削除(侵害行為)に対し、原告は現に行われている当該侵害行為を排除することができるか。

 結論として原告は当該侵害行為を排除することができる。その理由は以下に述べる通りである。

2、「原状回復」と「差止」と「侵害排除」の用語について

予め、用語について述べておく。請求原因第8では「原状回復」という概念を使用したが、これは「差止」或いは「侵害排除」と同じ意味で使っている。なぜなら、平井宜雄によれば、「原状回復」とは過去に発生した損害の除去の場合であるのに対し、「差止」とは将来において発生する損害の防止の場合と定義するが(甲65の2「債権各論Ⅱ不法行為」105頁(3))、そうだとすると本件は依然本論説が本リポジトリから削除された状態のままであり、将来において発生する損害の防止を求めて侵害行為の排除を求めているものだから、本件は「差止」ということになるからである。また、被告大学の侵害行為の排除を求めているという意味で、原告の主張は「侵害排除」のことである。最高裁も北方ジャーナル事件判決(最判昭和61年6月11日)で、名誉侵害の被害者は、「加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる」と「差止」の内容として「侵害排除」を掲げている。

以下、「差止」或いは「侵害排除」という概念を使用するが、それは「原状回復」という概念と共通の意味で使用するものである。

3、原状回復請求権の法的根拠

(1)、差止請求権(原状回復請求権)の法的根拠としての人格権

「人間には、人間が人間であるがゆえの尊厳と守られるべき価値がある」という理念が公法において登場したのが人権宣言や憲法の人権条項だとすると、私法において登場したのが人格権である。すなわち、人格権は契約や相続や不法行為などに基づいて取得する権利とは異なり、そうした事実がなくても、ただ「人間であるという理由のみで有する権利」それが人格権である(甲64の1星野英一「民法典の体系及び人格権について」138頁以下)。

従って、人格権は生命・身体・自由・名誉などのように、人間存在そのものに関わる利益をその内容とするものであるから、その侵害は人間存在そのものを脅かすものとなる。その結果、これに対しては侵害の排除を認めない限り救済の実を挙げられない。他方、目的物に対する排他的な支配権である物権においてはその侵害は排他的な支配権を脅かすものであるとして、従前から、これに対して侵害の排除=差止が認められている。この意味で、人格権も物権に準じた権利として侵害の排除を認めること、すなわち「差止」を認めるのが適切である。最高裁も北方ジャーナル事件判決で、名誉侵害の被害者は、「人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる」と人格権を根拠に「差止」(侵害行為の排除など)を認めた(以上につき、甲65の2平井宜雄「「債権各論Ⅱ不法行為」106頁注(1)。甲64の1星野英一「民法典の体系及び人格権について」142頁⑦参照)。

(2)、人格権の分類と価値の序列

前述の通り、人格権の特徴は個人の尊厳に由来し、ただ「人間であるという理由のみで有する権利」である。そして、憲法上の基本的人権と対応する関係にある。この意味で、人格権のカタログの筆頭として、憲法上の基本的人権と対応する自由と平等が挙げられる(この点を強調するのは星野英一である。甲64の1「民法典の体系及び人格権について」140~141頁)。そこからさしあたり、次のような分類が可能である。
①.人間の平等
②.肉体的。精神的自由
③.狭義の人格的利益(従来の人格権)

④.私生活の秘密や平穏など

星野英一(甲64の1)によれば、学問の自由も日本国憲法に明文のある自由として②に掲げられている。そして、名誉権は従来の人格権として③に分類される。平井宜雄もまた、不法行為の要件論の「被侵害利益の重大さ」という法的価値の序列論で、自由を「人間の生存に直接関わる利益が最も重大である」人格権の1つとして最上位に位置づけ、これに対し、名誉・プライバシーは最上位の自由と比べ「同程度に重大だと直ちに断じることはできないであろう」と、それより下位か或いは同等の位置づけをしている(甲65の1「債権各論Ⅱ不法行為」39頁)。

(3)、学問の自由の侵害に対する救済

そこで、人格権としての名誉権については、これが侵害された場合に差止が認められているのは前述した通りである。そうだとしたら、人格権の序列において、名誉権より上位にある、或いは少なくとも名誉権と同等の地位にある学問の自由についても、もしこれが侵害された場合には名誉権以上に、或いは少なくとも名誉権と同等の、人間存在そのものに関わる利益が脅かされることになるのだから、これに対する救済の実効性を期すためには「差止」を認めるのが妥当適切である。

(4)、本件

本件において、被告大学により原告の学問の自由(研究発表の自由)が侵害されたことは請求原因第5及び第6で主張した通りである。従って、本件の学問の自由の侵害に対して、原告に侵害行為(本削除)の排除=「差止」が認められる。

のみならず、「差止」が認められて原告は初めて本件紛争から解放されるのであって、たとえ損害賠償請求が認められても「差止」が認めれらない限り、被告大学が本論説を本リポジトリから削除した状態をし続ける限り、原告は将来何度もくり返し、被告大学を相手に損害賠償請求訴訟を提起しなければならない。それは理不尽の極みである。「紛争の終局的解決」という民事訴訟の目的達成という観点からも、本件の学問の自由の侵害において、「差止」が認められることが必要不可欠である。

 以 上

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令和3年(ワ)第15814

原  告  平 山  朝 治

被  告  国立大学法人筑波大学 外1名

証 拠 説 明 書 ()

2021年 7月13日

東京地方裁判所民事第5部乙合議にA係  御中

原告訴訟代理人弁護士 柳 原  敏 夫  

1、書証(甲64~65)

甲号証

標     目

(原本・写の別)

作 成

年月日

作成者

立 証 趣 旨

備考

64

の1~2

「民法典の体系及び人格権について」(138~142頁)

〔民法論集第十巻〕所収)

2008.5

星野英一

・人格権の由来(個人の尊厳から派生した)について
・人格権の分類の第1に、憲法上の基本的人権と対応する自由と平等を挙げたこと。
・人格権の分類の自由の中に「学問の自由」も含まれ、名誉権より先に登場すること。

 

65の1~3

「債権各論Ⅱ不法行為」

1996.5.30

平井宜雄

・「原状回復」と「差止」という概念のちがいについて
・人間存在そのものに関わる利益をその内容とするものである人格権について差止を認める根拠について
・「被侵害利益の重大さ」という法的価値の序列論で自由を最上位に位置づけ、名誉・プライバシーはそれより下位か同等の扱いをしていること。

 

 

 

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